多質点系モデルによる建物の最大層間変形角の概算方法の妥当性を、小型振動台を用いた建物モデルの加振実験結果と比較し検証しました。
多質点系モデルによる最大層間変形角の推定方法では、各階で計測された最大加速度をa、各階の固有周期をTとして、n階建てのl階における最大層間変形δlの概算値を次のように求めます。
1階あたりの固有周期Tは、建物全体の(1次の)固有周期Tpより推定することとします。
この概算方法を、小型振動台上に2階建ての構造を構築して加振実験を行い検証してみました。 各階にはGeo-Stickを設置し加速度を記録するとともに、レーザ変位計で各階の変形も記録しています。
加振波形を変えて実験を行った結果を裏面に示します。 実測された最大層間変形に対し、概算値は最大40%程度の誤差範囲に収まっていることがわかります。
また、実測値に対し概算値は常に大きな値となっています。 これは、概算値を求める前提として、各階の最大加速度が同時刻に同方向に作用するとしていることに起因します。 実際にはこのような状態となることは稀であり、概算値は実測値より大きな値となりますが、建物の健全性を推測するために用いる上では、安全側の値となります。
加振波形 | 対象 | 最大加速度 (gal) |
推定固有周期 (s) |
層間変形(mm) | |
---|---|---|---|---|---|
概算値 | 実測値 | ||||
JMA神戸波 | 1階(天井) | 910 | 0.140 | 4.98 | 4.72 |
JMA神戸波 | 2階(天井) | 1071 | 2.69 | 2.65 | |
JA鷹取波 | 1階(天井) | 393 | 0.145 | 2.45 | 1.77 |
JA鷹取波 | 2階(天井) | 506 | 1.38 | 1.21 |
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