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Geo-Seismo Technical Report 07

最大層間変形角の概算法を検証(2)

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1 概要

多質点系モデルによる建物の最大層間変形角の推定方法の妥当性を、一般的なビルを想定した数値解析結果と比較し検証しました。 解析には、斉藤大樹教授(豊橋技術科学大学建築・都市システム学系)が開発されたSTERA 3D ver.8.7 を用いました。

2 各階の最大層間変形角の比較

多質点系モデルによる最大層間変形角の推定方法では、各階で計測された最大加速度をa、各階の固有周期をT、各階の高さをHとして、n階建てのl階における最大層間変形角θlの概算値を次のように求めます。

STREAに添付されている標準的な柱・梁構造の7階建てビルモデルを用い、神戸海洋気象台で兵庫県南部地震時に計測された加速度時刻歴の値を入力として、このときの各階における最大加速度と最大層間変形角を求めました。 入力加速度の倍率を1/2、1/10とした場合での解析も行いました。

STERA 3Dの作業用画面

各階の固有周期Tは、7階の相対変位時刻歴より加速度振幅スペクトルを作成し、このピーク値を用いました。 これと解析により求まった各階の最大加速度を式(1)に代入し、各階の最大層間変形角を概算しました。 解析により得られた加速度データだけから求めた概算値ですが、1階部を除くと解析結果と3割程度の違いに収まっています。 なお、解析モデルでは1階部の剛性が他の階より大きくなっています。

解析により得られた7階のスペクトル(左から入力加速度倍率1、1/2、1/10)